おいしい(と思い込める)コーヒーのいれ方

タイトルの元ネタの小説は読んだことありません。
 「思い込める」のカッコどおり、味の保証はありません。

思い込みとは即ち脳を騙すことで、そのためには脳を疲れさせて認知能力を落とすのが最適です。脳の認知能力を落とすためには無駄な手順をたくさん踏んで非効率な淹れ方をすればいいのです。簡単で美味しいのが飲みたけりゃ100円握ってコンビニ行って機械に任せりゃいいのです。人類の文明は機械を産み出すために発展し、親の糧となり子は親を殺し機械仕掛けなデジタル野郎共にその地球の霊長たる立場を譲り渡し、結果として彼らからビックデータと機械学習で得られた真実の味がする珈琲を享受できるのです。普遍的ではない、定量化・自動化されていない揺らぎにこそ人間の味わいが隠されているのです。他人の不幸は蜜の味とは遥かなる太古から伝わる人類の真理の一つですが、こういった己自身や人類すべてが直面する不幸すら蜜と味わうことが他のエテ公様たちとは違うホモサピエンスの果たすべき英知のカタチではないでしょうか。


最近睡眠が安定せず、この時間でも眠れていないので八つ当たり気味に長文です。

  1. 生豆の入手
    まずは豆を選びましょう。もちろん「無駄に手間をかける」がモットーなので挽いてある豆など以ての外、焙煎も自前でやった方が脳を騙せるのでお勧めは生豆デス。
    珈琲豆を取り扱っているコーヒー専門店は多いですが焙煎済を主戦力としており生豆の取り扱いがある店は少数です。生豆取扱店は豆のコンディションをみて買うことが出来るのが最大の利点ですが、多くのお店は「焙煎して売る」を前提としており焙煎やその後の挽く分のコストも値段に含まれているため割高なのです。
    amazonでも生豆の扱いはありますが値段重視で何店舗か利用したところ、不良豆の割合が多すぎると判断して今は利用していません。現在利用しているのは 

    こちらのUSフーズさん。豆のコンディションやその他情報の記載が豊富でかつ値段も1kg1,000円前後からとお求めやすいので重宝してます。

  2.  焙煎の準備

    無事生豆を入手出来たら次は焙煎。焙煎する量はお好みでですが私は使ってる煎り網に丁度収まる量で適当にやってます。

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    だいたい網の底が埋まるぐらい、これで生豆重量換算で100g前後です。
    量を決めたら次は不良豆のピッキング。ダメなロットとか収穫~出荷過程でピッキングされていない農家の豆だとこの作業で心が折れます。脳に負荷をかけるのは良いことですが過負荷だと鬱病になる危険性もありますし、適度に良い豆を買うことで品質を担保しましょう。
    今回出た不良豆はコイツら。先ほどの量で4個はかなりの好成績です。

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    酷いロットや産地に当たった場合、厳しくピッキングすると全体の半分量程が不良豆という場合もあります。適当にネットで買うのは怖いね…
    先ほどリンク貼った珈琲豆屋さんは豆によっては精選に関する情報も書かれているためこの点で安心できるのが利用するようになった決め手です。
    不良豆はこれらの未成熟豆、虫食い豆、欠け豆など。今回ありませんでしたが死に豆や過成熟豆(発酵豆)、カビ豆などなど。また平均と比較してサイズが過大・過小な豆も焙煎具合にムラが出るため、健康な豆でも不良豆として扱うこともあります。
    根を詰めてやっても面倒なので、この手順は自身の満足度で精度を決めてください。
    ピッキングしたらそのまま焙煎してもいいですが、このあとお湯で生豆を洗うこともあります。生豆は多くの場合で周りに薄皮が付いているのですが、これが焙煎時に焦げて剥がれてチャフ(戦闘機などでの電子追尾機器対策に用いられる同名のアレをイメージしてね)と呼ばれる小さな燃えカスとなって舞います。これが掃除が面倒この上ないので豆に多くの薄皮が残っているときは水洗いしちゃいましょう。
    豆を濡らすことで焙煎ムラができやすくなるため、薄皮除去がなされた生豆であれば不要です。

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    ちょっと熱めのお湯で米を強めに研ぐイメージで。生豆のコンディションによっては結構な量の薄皮が出ます。何回か水を変えて研ぎ、水が汚れなくなったら終わり。ざるに挙げて水をよく切りましょう

  3. 焙煎
    豆の準備ができたら焙煎です。煎り網を中火で直接火には当てない高さでひたすら炒ります。この時豆は網の中で動き、特定の範囲・面だけに熱が偏らないよう注意しましょう
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    豆が乾燥状態か先述の洗った状態かによって炒る時間は変わりますが、乾燥状態の生豆であっても産地や加工で水分の含有量が異なってたりするので時間を目安とせず、ハゼ音・匂い・見た目で焙煎状況を把握しましょう。
    1ハゼ2ハゼと呼ばれますが炒られている豆は2段階に爆ぜます。1ハゼは乾燥が進み熱が豆に通り始めたころの「パチッ」という比較的大きな音、その後更に加熱されることで煙が立つようになったのち「ピチッ」という短い音の2ハゼになります。豆によって熱の入り方は異なるため、1ハゼ・2ハゼ共に始まってから終わるまでは火力にもよりますが1分から2分程度の幅があります。
    概ね浅煎りと言われているのは1ハゼの完了直後、2ハゼがある程度始まった辺りから後ろが深煎りとされているようです。
    匂いについては1ハゼ前後から甘い独特の珈琲臭がします。見た目は1ハゼ段階でまず茶色に変色し、その後焙煎が進行するに従いこげ茶・黒と変色して行きます。特に黒くなってくると豆の油分が浮いてきてツヤ・テカリが出ます。
    私は酸味が苦手で苦みが好きなのでいつも深煎りなんですが、良い豆を豆の性格ごと味わうには浅煎りの方が向いているとよく言われているので気分で浅煎りも時々やります。

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    写真は浅煎り。2ハゼ開始前に火からおろしました。2ハゼが始まると豆中の脂分が表面に浮いてくるため、もっとテカった黒色へと変わります。
    火から下ろしても豆自身の余熱で発酵(焙煎)が進むため、うちわやドライヤーの冷風機能、扇風機などで冷やしましょう。木炭みたいなもんで豆自体が相当な熱を持つのでやけどに注意。

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    粗熱が取れたら保管容器に移しましょう。シャレオツなガラスのストッカーでもいいですがジップロック系の保管袋が使いやすくてお気に入り。保管は冷蔵庫へ放り込め!炒った豆でも挽く前なら2週間程度おいしさが続きます。
    この後すぐに飲んでもいいですが、焙煎後一番おいしいのは2日目3日目なんだとか。知ったことか俺はすぐ飲みたいんだ。

  4. 手動のミルで挽こう
    ここで冒頭の宣言を思い出してほしいのですが、一連の手順は最適化や省力化といったモダンな思想は捨て、ろうがナイズ(老害ナイズ)された手間で一杯を楽しむものです。よって電動のミルを使っている方は今すぐハードオフに連絡するかこのページを閉じるべきです。

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    ハードオフ帰りで財布の膨れたあなたへ手順の続き。豆は好みの量で挽きましょう。概ねの目安はドリッパーによく付属している計量スプーンの1杯弱ですが私は1杯強が好きです。抽出量や焙煎の度合い、この後の抽出のやり方によっても変わってきますのでベストプラクティスの文章化は難しく、属人化が懸念されるジョブとなっております。
    他の条件が同じなら細挽きほど豆の表面積の計が大きいため抽出率が高いので量は少なくても大丈夫、粗挽は表面積が少なく保水力に劣るためお湯がサラッと流れて薄くなるので粗挽きの場合は標準より多くというのが目安です。

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    挽いた豆はこんな具合になりました。細挽きですが最細ではない程度の粒度で最近の好みの挽き具合です。

  5. セットしよう
    挽いた豆でさっそくコーヒー淹れましょう。普通にお湯を沸かせてもいいですが思い込みの力を最大限に引き出すためにホーローのポットを使ってみるのはどうでしょう。

    ホーローのポットで沸かしたお湯は水当たりが柔らかくなり[要出典]、味がまろやかになると言われています[誰によって?]
    現在の我が家のポットは上記のリンクのものを使っていますが底面積が小さく、五徳に焼き網を敷いてその上に乗っけてます

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    こんなの。刺さってるのは温度計です。
    お湯は沸かすに任せるとしてその間に豆の仕上げとセットもしましょう。我が家ではドリッパーはハリオのV60円錐ドリッパーにコーノ式円錐フィルターを合わせて使っています。何か主義主張があっての組み合わせではなく近隣のお店で円錐フィルターを買おうと思ったらこれが一番お安かったのが理由。
    先ほどの手順で挽いた豆をフィルターにセットする前に余分な屑を除去する作業をひと手間加えます。

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    計量カップに茶こしをセットしたものを用意し、茶こしに挽いた豆を投入。しばらくゆっさゆっさ揺らすと細かい削りカスが落ちるのが分かります。これらは細か過ぎてフィルターの目詰まりを起こすので除去することで抽出精度を高めることができます。

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    分離してますね。これでやっとドリッパーにセットできるわけですが、まだ終わりではありません。上の写真左側の茶こし部分が利用する側ですが白いものがたくさん混じっていますね。これは豆の内側の皮でシルバースキンと呼ばれているものです。これが残っていると抽出時に雑味の原因になるため取り除きます。

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    フィルターに入れたら軽くトントンと揺すりつつ、「ふー」っと軽く息を吹きかけます。そうすると軽いシルバースキンは飛び散り台所のシンクを汚し、フィルターの中には豆だけが残るという寸法です。中の豆が拡販されるように揺すりながら息を吹きかけ、漏れずに吹き飛ばしてください。

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    概ね奇麗になりました。

  6. ドリップしよう
    あとはドリップするだけ。お湯の温度は諸説あり、コーヒーに一言あるマンの主張を見ても低くは86℃、高くは95℃まで様々。なので私は深煎りの時はバランスのいい(と思われる)89℃に再加熱しつつ固定してのドリップ、浅煎りの時は苦みを強調するため93℃スタートで再加熱せずに温度を下げつつドリップをとりあえずの解としています。
    本格ドリップの前に蒸らし。豆全体が濡れるぐらいにお湯をかけて30秒待ちます。豆が焙煎後1週間程度で中挽き以小の細かさなら蒸らし時に発酵ガスによりモコモコ膨らむさまが見れます。新鮮な珈琲の目印であると共に、見た目にも楽しく自家ドリップの幸せポイントの一つだと思ってます。
    蒸らしている間余裕があればコップの方にもお湯を入れて予熱しておくのもお勧め。このお湯はドリップ前にはちゃんと捨てましょう。
    蒸らしが終わったらいよいよドリップ。少量ずつ絶やさぬよう、まずは豆の中心に注ぎその後小さく円を描くように注ぎます。
    この際にフィルターに直接お湯がかからないよう、またフィルターに直接触れている豆粉部分(土手 などと呼ばれます)は崩さないよう注意。私は小さく円を描きならが注ぐときの円は直径で1cm程でやってます。

    youtu.be

    挽き具合によって水分の浸透速度やフィルターの詰まり具合が異なるため、お湯が多すぎて土手を崩さぬよう、逆に注いだ分はとっくに抽出が終わって下に落ちてるのにお湯の注ぎが遅くて抽出時間が無駄に長くならないように気を付けながら注ぎましょう。

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    美味そうに注げました!と書こうと思ったら黒いカップに黒い珈琲でわかりゃしねぇ

    以上が手間がかかるけど本人主観ではとても美味しい珈琲の淹れ方でした。
  7. 本当においしいコーヒーを飲もう
    コンビニコーヒー ランキング - Google 検索
    Amazon.co.jp: インスタント・スティック: 食品&飲料: ネット通販

 

以上、睡眠補助剤を変えたら効きすぎて逆に睡眠リズムが狂ったことで寝れなくなった末の更新でした。
念のため書くと一連の画像や動画の撮影は普段珈琲飲む昼頃に行ったもので、この時間に珈琲飲んでる訳じゃないです、はい。